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2025年2月28日

悩むことも向き合っている証拠。よなご◯◯会議 働く編 開催レポート
悩むことも向き合っている証拠。よなご◯◯会議 働く編 開催レポート

2024年11月21日、よなご◯◯カイギ Vol.1 働く編が開催されました。生きづらさを抱える人たちを始め、誰もが安心して暮らすためのヒントを毎回違ったテーマから探っていきます。


第1弾のテーマは「働く」です。「働きづらさ」を抱えている方も少なくない昨今、まずは、「働く」とは何か、ゲストの方々に聞いてみました。


それぞれの「働く」ということ

学生の時は、なかなか自分の働く姿がイメージしづらいかも知れません。現在、若者サポートステーションで働く永見さんもそんな一人でした。


永見さんは最近「働く」とは、自分のやりたいことの先に周りがハッピーになる。そういうことなのかなと感じるようになったそうです。


一方で、作業療法士の廣澤さんは、仕事をしている時間だけが働く時間ではないと感じています。家で家事をしたり、家族と関わることも一種の仕事だと考えています。そんな考え方になったきっかけが認知症の方との関わりでした。



廣澤:「デイサービスで働いていた時に、認知症の方と関わっていて、その方がいつも言われていたのが、『私には何の仕事もない』ということでした。『私ができることを全部家族が奪っていく。だから私に仕事はない』って言われるんですね」


廣澤さんは、その方ができることを一緒にやってみることで、ご本人もご家族も「仕事のやりがい」を感じることができたそうです。そのことから、人との繋がり自体が働くということなのかなと感じたと言います。


佐々木さんが、特に若い方に言いたいのは、「働くのは多種多様、いろんな働き方があるということ」だそうです。


佐々木:「みんな生きてきた土台が違うし、働き方も全部違う。正解はないんですよ。そこは自分で見つけていくしかない」


ゲスト活動紹介

【合同会社sunsunto 代表 佐々木 正志 さん】

オレンジ色がトレードマークの佐々木さんは、移住先の大山でもマーシーと呼ばれていて、すっかり大山に溶け込まれています。地域おこし協力隊で大山にやってきた佐々木さんは、学生時代に日本全国を自転車で回っていた経験があり、初めて大山を訪れた際には、コンパクトだからこそ味わえる季節の美しさや景色に魅了されたそうです。


【とっとり・よなご若者サポートステーション総括コーディネーター 永見 陽平さん】

永見さんが今の仕事に就いたきっかけは、若者の変化、可能性を応援したいと思ったことだそうです。サポステでは、15歳から49歳までの現在働いていない方やそのご家族の相談を受けています。事前予約の後、各種サポートを受けることができ、さまざまなサポートの中からその人の状況に応じて、オーダーメイドでプログラムを組んでもらうことができます。


【NPO法人 クロスジョブ 廣澤 茉枝さん】

作業療法士としての臨床経験7年目の廣澤さんは、一度働いた際の失敗経験や学生の頃からの不安などから「働きにくさ」を抱える若者の支援をする中で、様々な問題に直面することも多く、日々勉強の日々だと感じているということです。


働きづらさを抱える人が働きやすくなるためのアプローチ

永見さんに、よく相談を受ける若い方の悩みを聞いてみると、「やりたいことがわからないこと」が圧倒的に多いそうです。そんな時は、小さい頃からやってきたことや好きなこと、夢中になれることの中からヒントを探し出すということでした。


また、一人でずっと考え続けてきた結果、不安ばかりが大きくなって、進めなくなってしまう方も多いということで、「選択肢が多すぎて選べない場合は、AとBどちらかなど、わかりやすい選択肢にしていくと、自分が本当に感じていたことや考えていたことに気づくきっかけになる」というアドバイスがありました。


佐々木さんからは、「やりたいことはなくても興味はあるから、それを形にしていくとその先にやりたいことがあったりする。自分が主語になる働き方をして欲しい」というお話がありました。


また、いきなり大きなことをイメージするのではなく、始めるのはごく小さな一歩でいいという、前へ進む勇気が湧いてくるようなお話をしてくださいました。


悩むことも向き合っている証拠。 期限を決めて行動することで自分の輪郭が見えてくる。 

佐々木さんは、悩んでいる方に対して、「悩むことを否定しないで欲しい」と言います。自分と向き合っているからこそ悩んでいるんだと。


では、どうやってその悩みを解決していけばいいのでしょうか?


佐々木さんは、「期限を決めて、トライ&エラーしてみることで自分の輪郭が見えてくる」と話します。


佐々木:「それまでモヤモヤするのは普通のこと。自分自身が分からないと「働く」ことにもピントが合ってこない気がする。だから、自分と合ってないように思える仕事をすることも、自分を知ることにつながると思う」


実際に佐々木さんが運営されている、シェア別荘「わたげ荘」に来て、変化した方もいるそうです。楽しいから行動が変わると佐々木さんは言います。


廣澤さんも楽しいと思える活動は原動力になると共感されていました。同時に「自分が今関わってる方たちは、本当に経験不足の方も多い」とも。多くのことを経験することは非常に大事なことだということでした。


また、世間一般の「働く」イメージにとらわれて動けなくなっている方も多いようです。


佐々木:「働くってすごい固定化したイメージがあるけど、そうじゃなくて、もっと広いんだよって、目の前のここしか見えてないのをこの辺まで、後ろとか横とか、そうするとこの辺もあるんだってわかるし、そういう形もあるんだって、変えるというよりは柔らかくすることができるという感じですね」


廣澤:「まさに今、自分が関わっている方も、働く=8時間で週5日できちんと出勤してという世間一般的な働くイメージがあって、『僕はここにもっていかないといけない、だけど練習しててすごくしんどいし、なんだかついていけない感じがある』って言われるんですね」


そういった方には、時間や場所、仕事の内容だっていろんな働き方があることをお伝えしているそうです。


佐々木:「実際に体験してもらうのがいい。そうすると、いろんな働き方の形があるんだってことに気づくので、プチ体験みたいにできるといいんですけどね」


ちなみに、佐々木さんの会社では、週2日~週4日の勤務設定になっています。その理由は、他の仕事も経験してもらいたいから。また、農家さんたちとの交流などを通して、必ずしも企業に雇われない生き方に気づくきっかけにもなるそうです。


今、現在にフォーカスする。自分の枠を決めない。

佐々木さんは、さまざまな事業を展開されていますが、常に「今」にフォーカスしていて、その延長線上に運営事業があると言います。


例えば、5年後ここにいくというような計画を決めてしまうと、きちんと進んでいるようには見えるけれども、自分が決めた枠内だけで動いてしまうような気がしてしまうというのが理由だそうです。佐々木さんは、枠外から外れたところにも新たな可能性が隠れていることを忘れないようにして欲しいと言います。


佐々木:「グランピング施設『トマシバ』も、たまたま協力隊を辞める時に芝農家の人に誘われて、やってみたら、景色もいいし、友達をそこに連れて行って、普通だと入れないんですけど、そこで、『すごくいいですね』っていうのを繰り返していただけなんです」


「たぶんいきなり行って、ここでグランピングやりたいって言っても、最初からビジネスとしての関わり方だったら、多分断られたと思う。でも、今の人と人としての関わりがあったから、それができてるっていう、それは結構大事なのかもと思います」



お金と仕事のバランス

参加者から「お金だけじゃないとは思うけれども、やっぱり生活するにはお金は必要だし、そこは無視できない」という意見も出されました。


廣澤さんのところにも働いた経験はないけれども、「お給料はたくさん欲しい、自分が決めた給料じゃないと働きません」という方が相談に来られるそうです。そうなると、仕事選びが難しくなり、働いていない期間が長くなって、最終的に「自分は働けるのか」と不安になってしまうということでした。


佐々木さんはお金も必要だと言います。どれぐらいお金が必要なのか、お金と幸福のバランスは人によって違うので、大事なのは、自分のバランスが自分自身でちゃんとわかっていることだと言います。


また、お金は自分の中で、真ん中にあるわけではなく、副産物的な捉え方をしていて、真ん中は人で、人と人からいろんなものが生まれる、繋がりや仕事、いろんなものが生まれて、その中の副産物の一つがお金っていう捉え方だと話されていました。


***


今回、第1回目のイベントにも関わらず、参加者の方々からも感想が多く出ていました。和気あいあいとした雰囲気の中で、ゲストを交えて、同じ席で話をする時間もあり、皆さん、人生に欠かせない「働く」ということを深く考える良い機会になったようです。


よなご◯◯カイギは、生きやすい、働きやすい社会実現に向けて考える場でもあります。ご興味を持った方は、ぜひ気軽に参加していただきたいと思います。


ゲストの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

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