
2025年4月16日
人生100年時代に聴きたい ”聞こえない私たちが開いてきた「生きる場所」”

人生100年時代に聴きたい ”聞こえない私たちが開いてきた「生きる場所」”
3月3日は耳の日。この日にちなみ、3月の米子◯◯会議では「聞こえ」をテーマとしたイベントを企画。長年、地元のろうあ団体の支部長および県の役員を歴任され、高齢ろう者の孤立を防ぐために県内でもいち早くコミュニティ形成に尽力されている森田忠正さんをゲストにお迎えし、3月27日、西部ろうあ仲間サロン会を会場に「聞こえ」×「生きる場所/居場所」をテーマに開催しました。
当日は肌寒い日にも関わらず、多くの方にご参加いただき、会場はあたたかく和やかな雰囲気に包まれました。
森田忠正さんの活動から見えた「生きる場所」
イベントでは、まず森田さんより、長年の活動と、地域に「生きる場所」を作ろうと思った背景についてお話いただきました。
森田さんは、聞こえない高齢者が一般的なデイサービスではコミュニケーションの壁に阻まれ、孤立しやすい現状を語られました。そのような状況を打破するため、「ふつうに」「当たり前に」「楽しく」おしゃべりできる場所、仲間と交流できる場所を切実に求め、手話通訳者の協力を得ながら、自らが必要とする居場所づくりに奔走されたといいます。
現在では、サロン会は単なる交流の場に留まらず、健康や防災、介護予防といった生活に必要な情報を共有する機会となり、さらに聞こえない・聞こえにくい子どもたちとの交流や、地域に開かれた食堂・カフェの開催など、活動の幅を広げています。
「聞こえる・聞こえないことの交わり」参加者の声
対話の時間では、参加者それぞれが「聞こえ」を巡る自身の経験や想いを共有しました。
サロン会の方(ろう者)からは、「多くの方に参加してもらえて嬉しかった」「質問や様々な話を聞けて良かった」「サロン会の活動をもっと広めたい」という声がありました。また、サロン会が地域とのつながりを深め、なくてはならない場所に成長していることへの喜びも語られました。
手話ができない参加者からは、「手話を教えてもらえて嬉しかった」「自分が会話が分からない少数派になったことで、普段気づかないことに気づかされた」という新鮮な驚きが語られました。普段から手話サークルに参加しているという方からは、「様々な立場の方と話すことができ、サロン会が自分にとっても居場所になっている」という共感の声が聞かれました。
さらに、「聞こえる人が当たり前に利用しているサービスや仕組みが、聞こえない・聞こえにくい人には対応できていないことが多い」という問題提起や、「様々な立場や状況の人と繋がることの大切さを改めて感じた」という意見も出ました。
また、病気や施設入所によって聞こえない・聞こえにくい人が孤立してしまう現状への課題提起とともに、「もっと手話が普及し、誰もが取り残されない社会になることが必要だ」という切実な願いも語られました。
今回のイベントを通して、「聞こえる・聞こえない」に関わらず、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、それぞれができることを考え、行動していくことの重要性を再認識する機会となりました。
ご参加いただいた皆様、そして運営にご協力くださった皆様、誠にありがとうございました。
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