
2025年7月27日
よなご〇〇カイギvol.8 コモンってなーに? 開催レポート

外は30℃を超える金曜日の夜。私ももちろん、参加者が待ち望んでいた本日のよなご○○カイギ。なぜなら登壇者にこのお二人をお招きしたからです。
汽水空港店主兼湯梨浜町議会議員 モリテツヤさん
鳥取県立図書館支援協力課課長 高橋真太郎さん
始まる前から会場はワクワクに包まれます。司会はいき〇研究会の竹田伸也さん。
本日のテーマは「コモンってな~に?」
当日は、会場とオンラインあわせて50名を超える多くの参加者にお越しいただきました。

コモンってなんだ?
コモンは英語の“common”から来ていて、訳すと「共通の」「共有の」という意味です。「共有地」や「公共財」といった理解でしょうか。
トランプ政権下で急加速する資本主義の行方を案じている人も少なくないと思いますが、かといってなんでも公(国)が管理する世界は過去の破綻から考えてとても向かえない。
じゃあ何を目指していくのか。その答えをさぐるひとつのキーワードがこの度の「コモン」です。
モリさん「公と個人、人と自然、祖先と子孫、いろんな軸で重なり合っている部分がコモンではないかと思うんですよね」
なるほど、公的領域と個人的領域の重なった領域がコモンか! 人と自然が重なったところが里山。祖先と子孫が重なった領域で、音楽や芸術や宗教が生まれる…。重なりにコモンをみるのですね。
高橋さん「彼の自叙伝を読んで、読む前の彼の印象と、読了後が全く違いました。相手を深く知ろうとするきっかけや、主流も少数も多様な情報を集めることによって、私と公共のバランスが取れると思います」
イーロン・マスク氏の自伝を例に、こう話されました。図書館には、いろんな偏りやニッチがある。それが全方向から集まることで、バランスが生まれるのですね。
私の財産を公共に使う
知性やアイディアといった財産をいかに社会に渡していくか。モリさんは建築家の坂口恭平さんやオードリー・タンさんを例に挙げ、財産を独り占めせずに公共にシェアできるかが鍵と言います。モリさんが経営している汽水空港は本屋さんでもあり、町議がいる場所として、はたまたイベント等様々なコミュニティの場になっており、コモンの体現だと思いました。
高橋さんは鳥取県立図書館に勤務しており、来館者に積極的に本の魅力を様々な手段で発信されています。中には熱心に本を紹介される高橋さんの熱量に困惑する来館者もあるとかないとか(笑)。公務員という属性上、私を飛び越えて深く進めることはどうしても制限がかかると推察しますが、それでも高橋さんがバランスをとりながらも公共だけにとどまらない活動を模索されている姿がくっきりと浮かびました。

ルールは何のためにあるのか
モリさんは借りている畑を「食える公園」と名付け、誰が出入りしても作物を取って食べてもいいと解放しています。
えっ!? そんなルールなしで大丈夫なの? 誰かが全部作物を取ったりしない? 密かに思っていたら、次に見透かされたような驚きの発言。「そんな機会を待っているんですよね。」
モリさん 「世の中のルールは私たちが生まれる前から漫然とあって、なぜそのルールを守らないといけないのか考える機会がない。もめごとや諍いなどの現実の困難に出会った時に、じゃあどうしたらいいのか、昔を遡って過去の人たちがどう考えていたかを本で知ったり、改めて皆で話し合ったりできますよね。実際はそう簡単にいかないかもしれないですが、そんな実験がしたいんです」

高橋さんは、図書館の大いなる可能性に触れます。
高橋さん「公だけではできないことも一緒にやることで広がりができる。一長一短では成果が出にくいが長いスパンで考えていくことが大切と思います」
様々な視点で物事を考える材料探しの場や、いろんな事情の人が前置きなしに集まれる場など、新たな図書館の展開を語ってくださいました。

第二弾やりたい!
会場やオンラインからも活発に質問があり、あっという間の90分間。終わった後も気分が高揚したスタッフが楽しかったこの空間から帰りたくない気持ちになるほどでした。それほど濃密で(頭はモヤモヤと逡巡していましたが)豊かな時間でした。
モリさん高橋さん、夜遅くまでありがとうございました。参加してくださった方も、関心を寄せてくださった方も、ありがとうございました。
アーカイブを切望してくださった皆様、この度はできなくてごめんなさい。第二弾を企画したいと思いますので、今後もチェックしてくださいね。
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